さっちゃんの足跡

25. お年玉と年賀状

 「さっちゃん 今年もお年玉だよーーーー。」 「ありがとう。」
「私には無いの?」 「お前はここにたくさん持ってるだろう?」
お父さんはママのお腹をツンツンしながら意地悪そうな顔で言います。 「意地悪だなあ。 可愛がってよ。」
「おー、可愛い可愛い。」 「そんなんじゃなくて、、、。」
 お父さんもママも正月くらいは仲良しみたい。 いつもは喧嘩したり文句を言ったりしてるのにねえ。
 「普段は普段。 正月は正月だよ。」 あら、そうですか。
ママが楽しみにしてるのは元旦に配達される年賀状です。 毎年少なくなってはきてるけど。
 だってさあ、メールのほうが楽だし金も掛からないしすぐに書けるしいいじゃない。 でもなあ『あけおめ!』って書かれても、、、。
あけおめ、ことよろ、ごっつあん。 ついでに戴きーーーーー。
 クレーンゲームをやってるんじゃないっていうの。 もっと心を込めてほしいなあ。
昔はプリントゴッコで(どんなのを作ろうかな?)ってあれこれ悩んだものよ。
 文章だって考えたし作戦も考えた。 年賀状で驚かせてそれから告白したりもしたっけなあ。
でもさあ、うまくいったためしが無いんだわ。 みんな空振り。
 「それで俺を捕まえたの?」 「あなたは大食い選手権で勝ったから(すごいなあ!)って思っただけよ。」
「それだけかーい?」 「他に取柄なんて有ったの?」
「うーーーーん、、、、、。」 「ほらねえ。 大食いだけじゃない。 でもおかげでさっちゃんが生まれたのよね。 それだけは感謝してるわ。」
「正月からひどいママだよなあ。 俺は種馬か?」 「そうよねえ。 さっちゃん。」
「それだけじゃないと思うよ。」 「えーーーーー? さっちゃんにやられた。 悔しい。」
 今年もこの家族はいろいろと有りそうだなあ。
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