伝えたい想いは歌声と共に

小学校から一緒です

 幽霊がいるとか言って、何度も私を怖がらせた三島。だけど、それはもう昔の話だ。
(確か、急にイジワルしなくなったんだよね。ユウくんが亡くなったくらいからだと思うんだけど)
 どうしてそうなったのかは知らないけど、おかげで今は、気兼ねなく話せる同級生って感じになっている。
 そんな三島に向かって、声をかける。
「ねえ三島」
「よう藤崎。なんだ?」
「三島、少し前からギターやってるでしょ。やっぱり軽音部に入の?」
「まあな。せっかく始めたんだし、ちゃんとやらないと勿体無いからな」
 そこで三島は、傍に置いてあったケースを持ち上げる。
 私がベースを入れているのとよく似てるけど、中身はギターだ。
 これで、私を含めて軽音部員は少なくとも二人はいることになる。
 そう思っていたら、真由子も話に入ってきた。
「それにしても三島。確かあんたがギター始めたのって、藍がベースの練習するようになってからすぐだったよね」
「あ、ああ」
 そうなの。
 私がベースの勉強をし始めたすぐ後に、三島も急にギターに興味が出たって言い出したんだよね。
「べ、別に、俺がギター始めたのと藤崎とは、何の関係もないからな。藤崎が始めたから俺もやるとか、そんなんじゃねーぞ!」
「うん。別にそんなこと思ってないけど」
 どういうわけか、焦ったように言う三島。それがなんだかおかしくて、思わず笑っちゃった。
「けど、三島がギター始めてくれて、良かったって思ってるよ」
「そ、そうか?」
「うん。軽音部で一緒に弾くの、楽しみにしてる」
 そう言うと、三島も同じように思ってたみたいで、照れたように顔を赤くさせながら、嬉しそうに頷いた。
「じゃあ、私はそろそろ部室に行くね」
「それなら、俺も一緒に行こうか?」
 私が荷物を手に取るのを見て三島もそれに続こうとするけど、三島、さっきまで友達と話をしてたんだよね。
「いいよ。三島、話している途中だったんでしょ。私は先に行くから、ゆっくり来なよ」
「えっ? いや、それは……」
 私に気を使って話を切り上げようとしているのなら、そんなの悪いよね。
 というわけで、私はそのまま一人で教室を出ていく。
 それを見送る三島が、どこか寂しそうにしていたことには、最後まで気づかなかった。
< 4 / 38 >

この作品をシェア

pagetop