あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
プロローグ
「なぁ、俺たち付き合わないか?」
深夜のオフィスで突然向けられた優しすぎる声に、綾瀬 菜月は息を止めると、目の前に覗く端正な顔を見上げた。
高校の同級生だった佐々波 凌平は、あの頃と変わらない真っすぐな瞳で菜月をじっと見つめている。
高校卒業以来、会うこともなかった菜月と凌平は、つい二ヶ月前、このオフィスで再会した。
「な、なにを言って……」
菜月は絞り出すように小さく声を出すと、凌平の視線に耐えられなくなり顔をうつ向かせた。
ふと見た先には、デスクの上に置かれた凌平の逞しい腕が見える。
袖を捲ったワイシャツから覗く腕は、あの頃よりも太く鍛え上げられていた。
(そういえば、大学ではラクロス部だったって、誰かが言ってたな……)
菜月はついさっきまで、自分の頭の上にポンと置かれていたその手の熱を思い出し、全身の温度が徐々に上昇していくのを感じる。
「菜月」
ふいに耳元で発せられた言葉に、再び息が止まる。
凌平は高校の時から、大事な話をするときだけ、菜月のことを苗字ではなく名前で呼んだ。
(あの時と同じだ……)
菜月は自分の中で、確実に湧き上がってくる想いを自覚しながら、静かに顔を上げたのだ。
深夜のオフィスで突然向けられた優しすぎる声に、綾瀬 菜月は息を止めると、目の前に覗く端正な顔を見上げた。
高校の同級生だった佐々波 凌平は、あの頃と変わらない真っすぐな瞳で菜月をじっと見つめている。
高校卒業以来、会うこともなかった菜月と凌平は、つい二ヶ月前、このオフィスで再会した。
「な、なにを言って……」
菜月は絞り出すように小さく声を出すと、凌平の視線に耐えられなくなり顔をうつ向かせた。
ふと見た先には、デスクの上に置かれた凌平の逞しい腕が見える。
袖を捲ったワイシャツから覗く腕は、あの頃よりも太く鍛え上げられていた。
(そういえば、大学ではラクロス部だったって、誰かが言ってたな……)
菜月はついさっきまで、自分の頭の上にポンと置かれていたその手の熱を思い出し、全身の温度が徐々に上昇していくのを感じる。
「菜月」
ふいに耳元で発せられた言葉に、再び息が止まる。
凌平は高校の時から、大事な話をするときだけ、菜月のことを苗字ではなく名前で呼んだ。
(あの時と同じだ……)
菜月は自分の中で、確実に湧き上がってくる想いを自覚しながら、静かに顔を上げたのだ。
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