あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと

あの日言いたかったこと

 バタバタとオフィスの廊下に、菜月と凌平の足音が響く。

 あの後すぐに会社に戻った二人は、工事の際の不手際で、一時的にサーバー室の電源が落ちていたことを確認した。

「やっぱり、綾瀬の言った通りだったな」

 ため息をつく凌平と二人で暗い廊下を進み、突き当りのサーバー室へ入る。

 室内はエアコンも切れており、一気にムッとした空気が全身にまとわりついた。

 菜月は電気のスイッチをONにすると、手早く状態を確認していく。

 やはり思った通り、サーバーはダウンしていた。


「すぐに再起動をかけるから、凌平はアメリカ支社にその旨を伝えてくれる?」

「わかった。じゃあ、俺は先にフロアに戻ってるから」

 菜月は凌平の後姿を見送ると、早速作業に入る。

 程なくして、無事にサーバーが立ち上がったのを確認できた。

 ある意味、飲み会が会社の近くの居酒屋で行われていたのは、不幸中の幸いだったのかも知れない。

 ホッと胸をなでおろした菜月は、サーバー室を出てフロアに戻った。
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