あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと

再び恋は動き出す

 その日の夕方、菜月は凌平とともに川沿いをゆっくりと歩いていた。

 あの後、萌絵とは一緒に食事をして、懐かしい思い出話に花を咲かせた。

「また二人で帰ってきたら教えてね」

 萌絵は笑顔でそう言うと、眠そうにあくびをする娘の肩を大事そうに抱きながら帰って行ったのだ。


 菜月はオレンジ色に染まりながら流れていく川に、目線を添わせながら静かに足を止める。

 チラチラと穏やかに揺れる川面には、鴨の親子がすいすいと進んで行くのが見えた。


「凌平」

 菜月は隣に立つ凌平に呼びかけると、真っすぐに向き直る。

「今日は本当にありがとう。私はやっとあの日から、前に進める気がするよ」

 にっこりとほほ笑む菜月に、凌平はそっと口元を引き上げると優しく菜月を見つめている。

 その瞳があまりに真っすぐで、菜月は思わず照れたようにうつむいてしまった。


「あ、あのね、凌平に聞きたいことがあるんだけど……」

「聞きたいこと?」

「えっと、その……凌平は、いつから私のこと……」

 菜月はそこまで言って、カッと頬を真っ赤にさせる。
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