憧れだった貴方と恋をする〜左小指のピンキーリングは素敵な恋を引き寄せる〜
縮まった距離
「憧れ?同じ年なのに?」
「うーん、あのね、私達の高校もインターハイに出場していてね、決勝戦での佐野くんの活躍を見ていたの、本当に凄くてカッコよくて、思い出すだけで涙が出ちゃう」
(言っちゃった……)
さくらは両手で自分の顔を覆った。
「そっか、見てくれてたんだな、素直に嬉しいな」
佐野くんは着替えると背伸びをして欠伸をしていた。
「ベッド使っていいよ、明日は何限から?」
「2限」
「わかった」
「じゃあ」と佐野くんは言うと私の腕も引っ張られた。
(えっ、えっ……)
「ベッドがデカイから2人で寝れるよね」と言うと布団に連れ込まれた。
後ろから腰に手を回されておやすみと聞こえた。
(佐野くん、近いよ……)
「ねむ……い」
風邪薬が効いてきたのかスースーと佐野くんの寝息が聞こえると、腕をゆっくりと離して冷蔵庫からおでこに貼るシートを持ってきてゆっくり貼った。
「んっ」と顔を歪めたが起きることはなかった。
私も寝ようとベッドに横になった。
「佐野くん、起きて」
「うーん……」
さくらは朝食を用意して佐野くんを起こしに来た。
「熱は下がったかな」
おでこのシートをゆっくりはがして体温計を脇に挟む。
ピピッと音がなり見ると36度と表示されていた。
(良かった……)
「佐野くん、朝ごはんだよ、佐野くん?」
(朝弱いのかな、いつもより睡眠時間は多いはず)
さくらは佐野くんの体を軽くゆすった。
「……名前呼んでくれないと起きない」
「え?嘘でしょ」
「本当」
「もう起きてるのに?」
「もっかい寝る」
長い腕がさくらを引っ張りこんだ。