憧れだった貴方と恋をする〜左小指のピンキーリングは素敵な恋を引き寄せる〜
1ヶ月の同居

夕方インターホンがなりさくらがドアを開けると松葉杖を1本ついて足首を固められた遥海くんが立っていた。

「そんなにひどかったの?あと、髪の毛…」

目が隠れるくらい伸びていた髪の毛はウルフカットからツーブロックに刈られていた。

お風呂も大変だからと病院の後に短く切ってきていた。


「全治1ヶ月」

家から着替えを持ってきたみたいで少し大きな鞄を持っていた。

鞄を受け取りリビングに置きに行き、急いで遥海くんの補助をしようとまた玄関へ戻った。

座り込んで靴を脱いでいる遥海くんの松葉杖を立てかけ、遥海くんの脇に入り込み立たせる。

「サンキュ」

カウンターに座り病状を説明した。


「……で、固定した方が治りが早いって」


「そう……確かにサポーターくらいなら動いちゃうよね、部活とバイトはどうするの?」

さくらは固定された場所を指でコンコンと軽く叩いた。

いたずらっ子だなぁと遥海は頭を撫でた。

「部活は2階のトレーニングルームで上半身の筋トレだとよ、バイトは今日行ってみて出来ることをするよ、深夜は代わりがいないからな、レジ打ちとかは出来るし」


遥海は深夜バイトに行く前にさくらの作ってくれた夕食を食べていた。

バイトに出かける遥海は、さくらからカードキーと暗証番号を教えてもらった。


「4時上がりだから寝ててな」

「うん……」

遥海くんの目がはっきり見える。


見られてるのが恥ずかしくて、そして少し寂しくて心配で下を向いた。

「チュッ」

遥海くんは下からキスをくれた。

「行ってくる、大丈夫!」


心配そうに立っているさくらにもう一度キスをして玄関を出た。
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