あの頃のあなたに、今度こそ愛されたい
第3話 嘘つきな親友
小学校1年生の時、恵麻は体育の授業から戻るなり自分の練り消しがないと騒ぎ出した。
「まりなが教室に縄跳び忘れたって言って、1人だけ教室に戻った時があったよね」
恵麻が私を疑うように言ってきた言葉にクラス全員が私を疑い出した。
「私は縄跳びをとりに行っただけだよ」
私は疑いの視線が怖くて震える声を絞り出すように言ったが、みんな私を泥棒扱いして無視し出した。
「先生、私が田代恵麻さんの練り消しを取ったと疑われているんです」
当時の担任であった渡部先生に状況を説明したら、先生は私のランドセルをひっくり返した。
私の持ち物が全て床に散乱する。
「練り消しは見つからないな。田代さん、岩田さんが練り消しを取った証拠はないから許してやりな」
私は自分がありもしない疑いをかけられた上に、床に荷物を散乱させられた。
それでも、私は自分が田代恵麻に許されなければならない立場だと先生に言われた。
先生は大人だから、大人の言うことは正しい。
当時7歳だった私はそう思ってしまった。
目がクリクリして可愛い恵麻は先生のお気に入りだった。
私は渡部先生には「賢ぶって可愛げのない子」と言われたことがあって嫌われている自覚はあった。
今思い返すと先生の対処の仕方はおかしい。
明らかに自分の好き嫌いが反映した対応を子供に対してしていた。
「とりあえず許すけど、どこかに隠しているなら早く白状してね」
恵麻が私を見下すような目で言ってきた。
「信じてくれてありがとう」
私は散乱した自分の持ち物をランドセルに詰めながら言った。
私はその後、長い間毎日のように泥棒扱いをされた。
私が登校すると「泥棒が来た」と皆が私を避けた。
「あれ、練り消し」
私はある日、恵麻の筆箱に無くしたと大騒ぎしているた練り消しを見つけた。
「盗んだのをそっと戻したの?特別に許してあげるよ。まりなは私の赤ちゃんの時からの友達だから」
恵麻が言った言葉に私は「元々盗んでいない」と叫びたかった。
「ありがとう」
私の発する言葉は私の意思とは反していた。
恵麻は自分が無くした練り消しを、私のせいにしただけだ。
もしかしたら、私が泥棒扱いされて苦しむのを楽しんでいたかもしれない。
それでも私は彼女に従うしかなかった。
なぜならば、大人である渡部先生までもが恵麻の味方だ。
私がそこで恵麻を責めても渡部先生は恵麻の言い分だけを信じる。
教師という職業は恐ろしい。
小さな子供に対しては絶対の権力を持っている。
先生が泥棒扱いすれば、その子は泥棒だ。
私が教師になりたいと思ったきっかけは素晴らしい先生に会っただけではない。
最低の先生にも出会っているから、その職業の持つ責任を自分が担いたいと思った。
自分がその時に騒いだら、もっと酷い目にあうとわかっていた。
恵麻と私は同じ産婦人科で同じ日に生まれて親同士が仲が良い。
母親に恵麻は赤ちゃんからの友達だから大切にするようにと言われてきた。
だから、私は何度感情を弄ばれようと、恵麻を好きでいようと努力を続けた。
周りの子達は恵麻の嘘に振り回され続け、やがて彼女が虚言癖だと気がつくと去っていった。
それでも、小柄でクリクリした目をした天使のような見た目をした恵麻は男子には人気だった。
そして私も赤ちゃんの時からの友達ということで、彼女の嘘の最大の被害者であっても彼女を見捨てなかった。
彼女を見捨てるように唯一助言してくれた侑李先輩を避けて、恵麻といることを選んだのが私の最大の失敗だ。
お互いの母親が同じ産婦人科で同じ日に、私と恵麻をそれぞれ出産した。
その後、同室で入院生活を過ごして仲良くなっただけのこと。
(赤ちゃんからの友達って、私が選んだ友達じゃないじゃない⋯⋯)
私の小学校2年生の時の担任の先生は、私の作文を上手だと褒めてくれた。
どんどん文章を書いたら添削してくれると言ったので、私は褒められるのが嬉しくて日常のことを作文にしていって持っていった。
「物語とかも書いてみたら? 岩田さんは創造力が豊かだから」
私は先生に言われるがままに、物語を書いた。
私は先生に自分が書いた物語を恥ずかしいながらも渡した。
『ムササビあゆの冒険』という病気の母親の為に友達と協力して、万能薬を探す旅にムササビの主人公が出る物語だ。
「仲間と協力する大切さや、人を想う尊さを教えてくれる素敵な物語ね。どお、将来の夢見つかったんじゃない?作家さんとか、岩田さんに向いていると思うな」
私は先生の言葉に息を呑んだ。
私は1年生の時の文集の将来の夢の欄に「普通の人」と書いた。
それをみて、恵麻は「空気読めない変人のまりなは、まず普通にならないとね」と爆笑していた。
私は自分が将来何になりたいか思いつかず、空白で提出するわけにもいかず悩んだ末に「普通の人」と書いただけだ。
(昔から、恵麻は私を利用する時だけ利用していつもバカにしている子だった⋯⋯早く彼女から離れればよかった)
その一方で私の悩みに気がついてくれて、私の為に時間を割いてくれた先生がいた。
「私、先生のような教師になりたいです」
その時に、私の将来の夢は決まった。
「まりなが教室に縄跳び忘れたって言って、1人だけ教室に戻った時があったよね」
恵麻が私を疑うように言ってきた言葉にクラス全員が私を疑い出した。
「私は縄跳びをとりに行っただけだよ」
私は疑いの視線が怖くて震える声を絞り出すように言ったが、みんな私を泥棒扱いして無視し出した。
「先生、私が田代恵麻さんの練り消しを取ったと疑われているんです」
当時の担任であった渡部先生に状況を説明したら、先生は私のランドセルをひっくり返した。
私の持ち物が全て床に散乱する。
「練り消しは見つからないな。田代さん、岩田さんが練り消しを取った証拠はないから許してやりな」
私は自分がありもしない疑いをかけられた上に、床に荷物を散乱させられた。
それでも、私は自分が田代恵麻に許されなければならない立場だと先生に言われた。
先生は大人だから、大人の言うことは正しい。
当時7歳だった私はそう思ってしまった。
目がクリクリして可愛い恵麻は先生のお気に入りだった。
私は渡部先生には「賢ぶって可愛げのない子」と言われたことがあって嫌われている自覚はあった。
今思い返すと先生の対処の仕方はおかしい。
明らかに自分の好き嫌いが反映した対応を子供に対してしていた。
「とりあえず許すけど、どこかに隠しているなら早く白状してね」
恵麻が私を見下すような目で言ってきた。
「信じてくれてありがとう」
私は散乱した自分の持ち物をランドセルに詰めながら言った。
私はその後、長い間毎日のように泥棒扱いをされた。
私が登校すると「泥棒が来た」と皆が私を避けた。
「あれ、練り消し」
私はある日、恵麻の筆箱に無くしたと大騒ぎしているた練り消しを見つけた。
「盗んだのをそっと戻したの?特別に許してあげるよ。まりなは私の赤ちゃんの時からの友達だから」
恵麻が言った言葉に私は「元々盗んでいない」と叫びたかった。
「ありがとう」
私の発する言葉は私の意思とは反していた。
恵麻は自分が無くした練り消しを、私のせいにしただけだ。
もしかしたら、私が泥棒扱いされて苦しむのを楽しんでいたかもしれない。
それでも私は彼女に従うしかなかった。
なぜならば、大人である渡部先生までもが恵麻の味方だ。
私がそこで恵麻を責めても渡部先生は恵麻の言い分だけを信じる。
教師という職業は恐ろしい。
小さな子供に対しては絶対の権力を持っている。
先生が泥棒扱いすれば、その子は泥棒だ。
私が教師になりたいと思ったきっかけは素晴らしい先生に会っただけではない。
最低の先生にも出会っているから、その職業の持つ責任を自分が担いたいと思った。
自分がその時に騒いだら、もっと酷い目にあうとわかっていた。
恵麻と私は同じ産婦人科で同じ日に生まれて親同士が仲が良い。
母親に恵麻は赤ちゃんからの友達だから大切にするようにと言われてきた。
だから、私は何度感情を弄ばれようと、恵麻を好きでいようと努力を続けた。
周りの子達は恵麻の嘘に振り回され続け、やがて彼女が虚言癖だと気がつくと去っていった。
それでも、小柄でクリクリした目をした天使のような見た目をした恵麻は男子には人気だった。
そして私も赤ちゃんの時からの友達ということで、彼女の嘘の最大の被害者であっても彼女を見捨てなかった。
彼女を見捨てるように唯一助言してくれた侑李先輩を避けて、恵麻といることを選んだのが私の最大の失敗だ。
お互いの母親が同じ産婦人科で同じ日に、私と恵麻をそれぞれ出産した。
その後、同室で入院生活を過ごして仲良くなっただけのこと。
(赤ちゃんからの友達って、私が選んだ友達じゃないじゃない⋯⋯)
私の小学校2年生の時の担任の先生は、私の作文を上手だと褒めてくれた。
どんどん文章を書いたら添削してくれると言ったので、私は褒められるのが嬉しくて日常のことを作文にしていって持っていった。
「物語とかも書いてみたら? 岩田さんは創造力が豊かだから」
私は先生に言われるがままに、物語を書いた。
私は先生に自分が書いた物語を恥ずかしいながらも渡した。
『ムササビあゆの冒険』という病気の母親の為に友達と協力して、万能薬を探す旅にムササビの主人公が出る物語だ。
「仲間と協力する大切さや、人を想う尊さを教えてくれる素敵な物語ね。どお、将来の夢見つかったんじゃない?作家さんとか、岩田さんに向いていると思うな」
私は先生の言葉に息を呑んだ。
私は1年生の時の文集の将来の夢の欄に「普通の人」と書いた。
それをみて、恵麻は「空気読めない変人のまりなは、まず普通にならないとね」と爆笑していた。
私は自分が将来何になりたいか思いつかず、空白で提出するわけにもいかず悩んだ末に「普通の人」と書いただけだ。
(昔から、恵麻は私を利用する時だけ利用していつもバカにしている子だった⋯⋯早く彼女から離れればよかった)
その一方で私の悩みに気がついてくれて、私の為に時間を割いてくれた先生がいた。
「私、先生のような教師になりたいです」
その時に、私の将来の夢は決まった。