御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
まっすぐに私だけを見つめている――それがたまらなく愛おしくて、胸がいっぱいになって、涙がこぼれ落ちた。

「ごめん……なんか、感激してしまって。」

慌てて目元を拭おうとした私の手よりも早く、律さんの指が優しく私の頬をなぞった。

いつものように、涙を拭ってくれるその仕草が嬉しくて、ますます涙が止まらなくなる。

「今からそんなに泣いてたら、毎年大変になるよ?」

茶化すような声に、私は小さく笑った。

「うん……でも、嬉しいの。すごく、すごく幸せ。」

私が笑うと、律さんも優しく微笑む。

そのまま、ずっと見つめ合っていた。

テーブルにキャンドルの光が揺れている。

「もう、見つめすぎ。お店の人、照れてたよ?」

そう言ってみたけれど、律さんは視線を外そうとしない。

「だって、千尋が綺麗すぎてさ。」

今度は私の方が照れて、視線をそらす。

──もう、何もいらない。
この人が隣にいてくれるだけで、こんなにも心が満たされてしまうのだから。
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