御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「それ、営業トークじゃないの?」

「いや、わりと本気っぽかったよ。奥さん、ずっと見てニヤニヤしてたし。」

「やだ、見られてたの?」

顔が熱くなる。

「うん。でもまあ、見せつけてたのかもしれないな。俺の奥さん、世界一かわいいって。」

冗談っぽく言いながらも、律さんの目は真剣だった。

「……もう。」

そう呟きながら、私はそっと彼の腕に自分の腕を絡めた。

外は眩しい太陽、だけどそれ以上に、私の胸の中が温かく満たされていた。

その先に、大きな岩があった。

白い砂浜の端、そこだけぽっかりと陽の光が遮られ、涼しい影が落ちている。

「涼しいね。」

汗ばんだ首筋をぬぐいながら、私は髪を掻き上げた。

潮風にふわりと髪が舞った瞬間、律さんの腕が、そっと私の肩を抱いた。

「二人きりだね。」

その声に、心臓がドクンと高鳴る。

振り返ると、彼の目が私を真っ直ぐに見つめていた。
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