御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
神楽木さんは、今日も完璧に整ったスーツ姿で、微笑を浮かべていた。

「本日は、うちの部長も同行しております。」

私は少し後ろに立つ神田部長に視線を送る。

「初めまして。部下の朝倉が、いつもお世話になっております。神田と申します。」

すると部長、明らかに声に張りがある。

やけに名刺の差し出し方も丁寧すぎるし、なんか張り切ってる……!

「どうぞ、こちらにおかけください。」

律さんは、微笑んだまま部長を応接ソファへと案内する。

──なんか、これって、

「ご挨拶がてら、娘の彼氏に会いに来た父親」みたいになってない?

私はそっとため息をついた。

そして私は、カバンから資料を取り出した。

「こちらが案件のラフ画になります。」

神楽木さんはそれを受け取ると、ぱらぱらとページをめくって微笑んだ。

「おっ……仕事早いですね。」

「ありがとうございます。」
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