御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
部長はその横で、ふむふむと頷きながら何やら楽しそうに聞いている。

……やっぱり来てもらってよかったかも。

そして、神楽木さんがラフを見ながら言った。

「うーん、もう少し“楽しい”感じが出せるといいかもしれませんね。」

「“楽しい”……というと、コメディ路線ですか?」

「いや……笑えるというより、惹きつけられる。興味深い方向に。」

ああ、なるほど。

「たとえば、最初の導入を“意外性”で始めるとか?」

「それ、いいですね。」

そう言って、神楽木さんはペンを手に、ラフ画の余白にメモを書き込む。

──その姿を見て、ふと思った。

やりとりが、心地いい。

意見を否定せず、引き出してくれる。

私の言葉に、ちゃんと耳を傾けてくれている。

「ここ、どう思います?」

「そうですね……少しストーリー仕立てにしてみても良いかも。」

「なるほど……確かに、その方が引き込まれますね。」
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