御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
むしろ、彼の視線はどこまでもまっすぐだった。

私は少しだけ言葉を探してから、静かに答えた。

「……実は、最近別れたんです。10年付き合ってた人がいました。」

神楽木さんの眉が、ほんの少しだけ動く。

「3年前から結婚を意識していたんですけど、結局……彼は動いてくれなかった。待ちくたびれて、疲れて、終わりにしました。」

少しだけ笑ったけれど、喉の奥が詰まる。思った以上に、まだこの話をするのはしんどい。

「正直、もう恋愛も面倒くさくて。でも、いい方がいれば……結婚はしたいと思ってます。」

「いい方とは?」

面接官みたいな質問。だけど、神楽木さんの目はどこまでも真剣だった。

私は、ちょっとだけ意地になって答えた。

「……一定の収入があって、誠実で、決断力のある方、ですかね。」

すると──神楽木律は、ほんの一拍置いてから、こう言った。
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