御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
慌てて立ち上がり、近くの席にいた滝君に声をかける。

「ねえ、寺川不動産の件なんだけど……この1ページ、明日までに間に合うかな?」

「えっ、今からですか⁉」

滝君は、ちょうどPCを閉じようとしていたところだった。

「ああ……ごめん、やっぱ無理だよね。もう帰るところだったもんね。」

私は深く頭を下げると、急いで自分のデスクに戻った。

スマホを手に取り、律さんに返信する。

《ごめん、もう少しだけ残業。先にご飯食べてて。》

送信ボタンを押した指先が、どこか寂しさを帯びていた。

今夜も一緒にご飯を食べたかった。

でも、仕事だって、手は抜きたくなかった。

するとまた、スマホが震えた。

《俺に夕食作りたいって言ってたよね。》

――イラッ。

今は仕事中。あと1ページで終わるのに。

私は深呼吸して、気持ちを落ち着けた。

……でも、ピコンとまた通知が来る。
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