君の笑顔を奪いたい。
……車に乗り込んでからと言うもの、やけに由良くんの距離が近い。

この人は小さい頃からどさくさに紛れて近くにいるけれど……なんだか、それとは違うような……同じような……。


「ね、ねえ、暑いよお」

「ん?汗かいちゃったの?ハンカチあるよ」


差し出された、紺色の綺麗なハンカチ。


「そうじゃなくて……!」

「拭いてあげるね」


優しくほっぺを触られる。別にほっぺに汗をかいた記憶はない。


「ふふ、ありがとう、美海」


嬉しそうににまーっと微笑んだ由良くんは、一瞬でそれをポケットに仕舞い込んだ。
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