カンペキ王子は、少々独占欲強めです。
歩きながら、陸はいつものように花乃の歩幅に合わせてくれていた。
段差のある歩道では、自然に花乃の前に立って足元を照らし、車が通るたびにそっと間に立ってくれる。

そのどれもがさりげなくて、でも不思議と安心できる。

(やさしい……)

口に出すには少し照れくさくて、花乃は小さく唇を噛んだ。

やがて駅の明かりが見えてきた頃、陸の歩みがほんの少しだけ遅くなった。

(……ん?)

ふと横を見ると、彼の横顔がどこか言いたげで──でも、何かを呑み込んだように視線を前に戻していた。

「……じゃあ、気をつけて帰って」

いつもと変わらないトーンだった。

「ありがとう」


改札口にはいり、陸の方をもう一度見る。目が合って、ほんの一瞬だけ静かに微笑み合った。

言葉にしないまま、別れの時間が訪れる。

(──また、学校で会えるから)

そう思いながら、花乃はホームへと向かっていった。
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