カンペキ王子は、少々独占欲強めです。
「……花乃?」

奥から現れたのは、見たことのないラフな格好の陸だった。
グレーのスウェットに、無造作な髪。
気を抜いた、けれど不思議と似合っている姿。

少し驚いたように目を見開き、けれどすぐにやわらかく目元をゆるめた。

「……どうしたの、そんな顔して」

まるで、全部見透かしているみたいな声。

「はーい!とりあえず、はいお茶〜!」
楓が花乃の肩をぽんと押して、リビングへと促す。

「少し休んでいってよ。ね? 」

楓は笑いながらウィンクをした。

「……すみません、突然……」

そう言いかけた花乃の言葉に、陸が首を振る。

「来てくれて、嬉しい」

その笑顔に、胸がきゅっと痛くなる。
あの日のこと。キスのこと。想いを告げずに別れたこと。
そして今日、自分が浮気相手だったと知ったこと。

目の前のぬくもりが、壊れてしまった自分の心の中に、静かにしみこんでいく。
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