あの夏の夜の続きは今夜
夏は始まりの季節
ビーチサンダル越しに砂浜から伝わる熱。
ジリジリと沸々と毛穴という毛穴から汗が出る。肉を焼いていても水分は出てくるもんな。
体から水分が流れ出て、私の身体はカラカラになってしまいそうだ。
35度。
海の水に足を浸せば冷たいだろうと思っていたけど太陽に温められたそれらは温かった。
「あっつ」
隣で玲美が溢す。黒いビキニと健康的に引き締まった身体。
18歳の私たちは自分で自分が大好きで、見せびらかしたいわけではなく、最高の自分でいたくて面積の狭い水着を敢えて選んでいた。
紐と紐で繋がれただけの布に、私はこの夏2万円も費やしていた。白いフリルが私の貧乳を盛ってくれる。
この海を決めた時は2キロ痩せようと企んだけど、2週間体重変わらなかったしお母さんから怒られて諦めた。
「焼ける」
「日差しが痛い」
一生懸命全身に塗ったSPF50のウォータープルーフ日焼け止めが白く浮いたように水を弾いている。
いつのまにか怪我をしたのか右足首に塩水がチクチクと痛む。
私たちと似たような世代の男女もいれば、親子も多く、海岸は多くの人で賑わっていた。
1000円で借りた浮き輪で海に浮かんでいると、暑いのに心地よくてつい黙ってしまう。
海水浴ってどうやって楽しむんだっけ。
太陽が眩しくて目を瞑る。
遠くに賑わう人たちの声。
どの声も正確になんて言ってるのかなんて分からないけど、よくもまあそんなに話すことが世の中に溢れているもんだ。
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