悲劇のセイレーンにささやかな愛を



少し拗ねながら怒る秋斗の耳のピアスが揺れ、夜の闇に映える明るい髪が風に靡く。

視線の先には彩芽と楽しそうに笑う澪。



「諦め切れてねーんだよ」

「そうだよな」

「共感すんなし」

「ごめんて」


「……でも澪ちゃん、振るときに出した名前はお前のだった」

「え?」



俺の……?
秋斗を振るときに??



「俺がなんで澪ちゃんのこと好きになったのかって、言ったっけ?」

「いや……」


「芯、だよ」

「芯?」

「チャラくてフワフワしてた俺にはない自分の芯を、あの子は持ってた」

「ああ」


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