悲劇のセイレーンにささやかな愛を
なんとなく分かる。
あんなに美人で可愛くて天然な澪なのに、
たまに彼女の強さが現れる時がある。
自分の意見ははっきりしてて、でも上手くそれを隠し持ってる。
だからこそ、ふとした瞬間に対面したその強さに驚くし、何よりもかっこいいなと純粋に尊敬する。
それに惹かれたのか。
秋斗は思っていたよりもずっと、ちゃんとまっすぐ彼女のことを見ていたんだ。
「俺、そこが好きになったって正直に伝えたんだ。その時に言ってたんだよ」
「その時に?」
「『だとしたらそれも、しすいのおかげなんだ』って」
「……」
俺のおかげ?
何も身に覚えがない。
何かしたか?
彼女の強さを引き出す何かが。