悲劇のセイレーンにささやかな愛を
「それ聞いた時に、ああ勝てないなって。だってさ、俺が好きになった理由を作ってたのはお前だったってわけだろ?逆に勝てるわけねーんだよクソ野郎」
「お、おう……ごめんな」
「謝れっていう訳じゃない。これはもう仕方ないし、事実お前がいるから澪ちゃんも今ここにいるんだ」
それもそうだ。
あの日、海で拾わなかったら俺もこんなに変わってない。
「だから紫水にはなんだろ……悔しさって言うか、感謝が大きいよ」
「……秋斗」
「うん?」
「お前いい奴だな」
「なんだよそれ!俺ずっと悪役だった訳!?ちょ……その顔やめて、どう言う顔なん!?」
感動しながら眉を下げて微笑んで彼に伝えると、照れ隠しか反抗し始めた秋斗。
なんなんだよ、人が真面目に褒めてやったのにさ。
まぁ、それでいて秋斗だ。
「いい親友を持ったよ」
「だからなんなのその顔!あーはい分かりました、俺もお前が親友で幸せです!」