悲劇のセイレーンにささやかな愛を
「……あれ、澪ちゃん」
誰もいないと思っていた教室のドアを開けると、窓の外を見ながら立っている彼女がいた。
水流園澪ちゃん。
そう言えば、転校してきて今日でちょうど1ヶ月だ。
紫水によく懐いている。今も委員会がある紫水を待っていたのだろう。
『秋斗くん。忘れ物?』
「ん、課題のやつ置いてってさー。危なかった」
クスクス、と笑ってる澪ちゃん。
俺はプリントを取り、おもむろに彼女に声をかけた。
「澪ちゃん、紫水と離れた方がいいんじゃない?」
『どうして?』
「だってまたあんな事になったら、」
つい最近、澪ちゃんの嫌がらせがエスカレートして引っ叩かれそうになったのを俺と紫水で助けた。
女子の嫉妬は男子よりも全然醜い。
ということを嫌というほど見せられてきた。
今回の元々の原因は紫水だろう。
これからもあのような嫌がらせをされるかもしれない。
そう、言おうとした時。