悲劇のセイレーンにささやかな愛を



「ありがと彩芽。澪、ほら口開けて」

「?……っ」



俺はクスッと笑いながらスプーンでグラタンをよそい、彼女の口元に近づけた。

心なしか顔を赤く染めている澪は、目を輝かせながらぱくっと中に入れる。

咀嚼する度にフワリと顔が緩み、一気に幸せオーラ満開になった。



「あーっそこ!イチャついてるんじゃないっ」

「いや彩芽が言うことかよそれ」

「お前らそういう関係だったのか……」

「家一緒だからよく食べさせてやるんだってば」



なぜか彩芽が顔を澪以上に真っ赤にさせている。

凰牙はうん、どういう表情?なんだその顔は。

はぁ、とため息をつきながら秋斗の方を見ると、口を半開きにして固まっていた。



「秋斗、しっかりしろ。今のは誤解だから。な?」

「……ははっ、なんの誤解なんだよ。澪ちゃん、俺のもあげるから」

「!」


「ふふっ、澪が二人から餌付けされてる」

「そうか秋斗、お前が水流園とそういうかんけ」

「凰牙?」

「……」



あの笑顔で仕返ししてやった。




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