本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 しかも、宰相補佐候補から外されたというのも、フィノラは知っている。こんなところで、見栄を張るエデルにまた幻滅する。

「ああ、それで、宰相閣下から貴重な本を預かったんだ。もしかして、君ならこの意味がわかるんじゃないかと思って……」

「私に?」

「ああ。リティスと同じ教育を受けてきたんだろう? だったら、君にも読めるはずだと宰相閣下が」

「は?」

 エデルの前ではいつも通りでいようと思っていたことも忘れたフィノラは、大声を上げた。

「リティス、リティス、リティスって! 皆お姉様のことばかり! あなたの口から、あの人の名前なんて聞きたくなかったわ!」

 怒りの色を見せたフィノラに、エデルはびくっと肩を跳ね上げた。宰相府でも、今の彼はろくな扱いを受けていないのだろう。

(だいたい、あの人がどこで古代魔術の知識を得たのか、私だって知りたいのよ……!)

 同じように学んできたはず。

 いや、魔術をろくに使えない姉のことを、フィノラは馬鹿にしていた。

 フィノラの魔術の才能は皆が知るところであり、どうせなら、フィノラに伯爵家を継がせればいいのではなんて話も出ていたほどだ。

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