本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 なのに、このところ何もかもがうまくいかない。

 姉が家を出なかったら――いや、姉がアザレウスに見染められなかったら。

(私達の前では、自分の能力を隠していて、アザレウス様の前で見せつけたに決まっているわ)

 能力を持つならば、家のために役だてるべきだ。

 それなのに、アザレウスに取り入り、自分だけ王宮で華やかな生活を送っているなんて許せない。

 王太子や王女も、すっかり彼女に骨抜きにされているではないか。

 気がつけば、エデルが茫然とした顔でこちらを見上げていた。

「ご、ごめんなさい。エデル様……私、少しいらいらしていたみたい」

 しゅんとして、慌てて表情を取り繕う。

 今まで、エデルの前で怒りを見せたことはなかった。

 姉のことでいらいらしていたのは事実だったけれど、今、エデルを逃がすのもあまりよくはない。

「あの人ってば、勝手なことばかりするから……エデル様なら、わかってくださるでしょう?」

「う、うん。そうだね。わかるよ……」

 愛らしい笑みを浮かべて言ってやったのに、エデルは視線を泳がせた。その顔も気に入らないが、今はその点を追及してもしかたない。
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