本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 だが、その期待はあっさりと打ち砕かれてしまった。

「お前は、部屋に行っていなさい」

「そうよ。先生から出された課題があるでしょう?」

 父も母も、リティスを仲間に入れてくれるつもりはないらしい。

 なんで? 口から出かけたその言葉を、懸命に呑み込む。

 たしかに、家庭教師の先生からは課題を出された。だが、それはもう終わらせていて、あとは次に授業に来てくれた時に提出するだけ。

 それを言うなら、フィノラはまだ課題を終えていない。なのに、なんでフィノラは許されるのだろう。

「フィノラには、魔術の才能があるんだ。それを生かせるような勉強も始めねばな」
「お父様、本当? 私、立派な魔術師になれる?」
「もちろんですとも。あなたは、お父様とお母様の大切な娘なんだから」

 まるで、その場にリティスがいないかのように、三人での会話が始まってしまう。呆然として、リティスはその光景を見つめていた。
 リティスにも、魔力はあると家庭教師の先生は言っていた。リティスも、魔術の勉強をしてみたい。
 勇気を振ってお願いしようとしたら、父はリティスを追い払うみたいに手を振った。

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