本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「ほら、早く行くんだ。お母様を困らせるんじゃない」
「……はい」
父にうながされ、しょぼんとしながら屋敷の方へと向きを変える。のろのろと歩き始めたリティスの背後から、高いフィノラの笑い声が追いかけてきた。
その声を聞きたくなくて、フィノラの声を振り払うように走りだす。
なぜ? どうして?
その疑問が、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。
記憶にある限り、リティスは両親に冷たかった。
フィノラばかり可愛がっている。リティスに求められるのは、勉強をしっかりすることだけ。
(私だって、この家の子なのに……!)
リティスが両親の血を引いているのは間違いない。あまりにも両親が冷たいので、どこからか拾われてきた子ではないかと思ったこともあったが、書類で実子なのは確認した。
玄関扉を開き、中に飛び込む。その勢いのまま、階段を一段飛ばしにして駆け上がった。行儀悪いがかまうものか。
廊下も走り抜け――すれ違ったメイドが驚いた顔をしていた――大きな音を立てて図書室の扉を開く。扉に背中を預けて、大きく息をついた。
「……はい」
父にうながされ、しょぼんとしながら屋敷の方へと向きを変える。のろのろと歩き始めたリティスの背後から、高いフィノラの笑い声が追いかけてきた。
その声を聞きたくなくて、フィノラの声を振り払うように走りだす。
なぜ? どうして?
その疑問が、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。
記憶にある限り、リティスは両親に冷たかった。
フィノラばかり可愛がっている。リティスに求められるのは、勉強をしっかりすることだけ。
(私だって、この家の子なのに……!)
リティスが両親の血を引いているのは間違いない。あまりにも両親が冷たいので、どこからか拾われてきた子ではないかと思ったこともあったが、書類で実子なのは確認した。
玄関扉を開き、中に飛び込む。その勢いのまま、階段を一段飛ばしにして駆け上がった。行儀悪いがかまうものか。
廊下も走り抜け――すれ違ったメイドが驚いた顔をしていた――大きな音を立てて図書室の扉を開く。扉に背中を預けて、大きく息をついた。