本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 それに引き換え、曽祖母の時代から使われるようになり始めた呪文を唱える魔術のことは詠唱魔術という。こちらは、呪文を間違えずに唱えられれば発動できるそうだ。

 魔術陣を脳裏に思い描くより、詠唱する方が簡単だ。そのため、今では詠唱魔術の方が主流になっているそうだ。その呪文を短縮したり、あるいは心の中で唱えたりするだけで魔術を使える者もいるという。
 魔力が揺らいだのは感じたけれど、アザレウスが部下を黙らせるのに呪文を唱えた形跡はなかった。

 ということは、口の中で短縮呪文を唱えたり、心の中で唱えたりするだけで使える詠唱魔術の上級者だ。さすが、魔術師団長を務めるだけのことはある。

「……オセルティス伯爵令嬢、あなたはこれからどうするんだ?」

「父に、領地を管理するよう言われているので、領地で暮らしますよ」

 いつまでもそこにいるとは限らないけれど。心の中でそう付け足したのは、きっとアザレウスには伝わっていない。

「そうか。あなたの才能は惜しいと思うが」
「ありがとうございます。お役に立ててよかったです」

 馬車に乗ってしまえば、ラングレーまではあっという間だ。

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