本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「……失礼しました! ですが、リティス嬢の魔術はすごいですよ。最近は見なくなった魔術陣を使う魔術ですよね。使える人は貴重なんで、ぜひ来てもらえたら嬉しいです。というか、僕にだけ教えてくれてもいいです。ぜひお友達になりましょう、いえ結婚し――」

 婚約破棄されたばかりだというのに、いきなり求婚された。だが、その求婚は、リティスの隣の席で魔力が動いたかと思ったらあっという間に封じられる。

 求婚してきた魔術師は、口をパクパクさせているが、声は出ない。しきりに瞬きし、目線でアザレウスに何か言っている。

「ラングレーに着くまで黙ってろ。令嬢を困らせるな」

 ひどい! と身振りで訴えかけているが、アザレウスはそれ以上取り合うつもりはないようだ。

「部下が失礼した」

 いえ、とリティスは首を横に振る。

(……そうか、やっぱり珍しいのね……)

 手のひらに魔術陣を浮かべて魔術を使うやり方は古く、今では、古代魔術と呼ばれている。
 魔術を使うために、必要な呪文、線をすべて脳裏に描けなければならないのがすたれた理由だ。一本でも間違えると、魔術は発動しない。

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