本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 テーブルのうちひとつには、湯を沸かすための魔道具と銀のティーセットが置かれている。もっとも、リティスがここでお茶を飲んだことはないけれど。

 うきうきと壁に近づいたリティスは、指で背表紙をなぞりながら、どの本を読もうか考え始めた。

 この部屋は、曽祖母の隠し部屋だ。壁の絵に魔力を流さなければこの部屋に通じる扉は開かない。

(あの時、絵に魔力を流そうと思ったのは本当、偶然だったわね……)

 タイトルを眺めながら、しみじみと考え込む。

 リティスが、この部屋に気づいたのは八歳の頃。楽しそうに話をしている両親とフィノラと一緒に時間を過ごしたいと声をかけた時だった。
 リティスは自室に戻るようにと言われたけれど、一人で部屋にいるのは嫌だった。

 図書室に駆け込み、壁の絵に何気なく魔力を流し――そして、隠されていたこの部屋を発見した。

(……あの頃の私は、愛されたいと願っていたのよね。今はもう無駄だってわかってるけど)

 あれから、七年。十五歳にもなればわかる。

 両親は、リティスを愛していない。

 ――リティスの容姿。それが、最大の原因なのだ。
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