本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「……リティス」

 困ったように、父がリティスの名を呼ぶ。けれど、リティスはそれ以上父に言うべき言葉を持たなかった。

 できる限りのことはした。これ以上、この家に囚われる必要はないはずだ。



 翌朝、リティスはトランクを持って車寄せに出た。領地に出発したあの時と同じ。

 けれど、執事と家政婦しかいなかったあの時とは違い、今日は家族そろって見送りに出ている。

(……今さらよね)

 今まで家族扱いしてこなかったのに、リティスの利用価値が高くなったと思ったとたんこれだ。

「いつ、帰ってきてもいいんだぞ」

「昨夜も言ったけれど、身体には気を付けるのよ。倒れては元も子もないのですからね」

 父と母が、口々にそう声をかけてくるけれど、リティスは口を開こうとはしなかった。何を言っても、今さらだ。

「お姉様、アザレウス様とお話をする機会があったら、私も呼んでちょうだい。昨日は、ろくに挨拶もできなかったんだもの」

 フィノラは、アザレウスのことが気になって仕方ないようだ。リティスを糸口に、なんとか彼と接点を持とうとしている。

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