本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 周囲を本で囲まれ、これからはここで一日の大半を過ごす。

 そわそわ、きょろきょろ。

 面白そうな本を見つける度に、立ち止まりそうになる。

(どうしよう、どれから読もう……!)

 そうではなかった。ここでは、仕事に来ているのだった。

「殿下、お願いがあるのですが」

「なんだ?」

「仕事がない時も、ここの本を読んでいいですか? その、たぶん、殿下としては優先的に解読してほしいものがあると思うんです。それ以外に、読みたいものがたくさんありそうなので……」

 自分が、もじもじしてしまっているのもわかる。どうして、こんな風にもじもじしてしまうのだろう。

「もちろん、かまわない。だが、休みの時にはきちんと休んでくれ。仕事ばかりしていては、病気になってしまう」

「はい!」

 絶対病気にはならない。満面の笑みと共に、返事する。

(病気になんてなっている場合じゃないわ!)

 だって、ここで働くことができるのだから。

 ここが、リティスの生きていく場所だ。なぜか、そう確信していた。
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