本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 とはいえ、今、この部屋を日常的に使っているのはリティスだけ。この広い空間が、少々もったいないとも思ってしまう。

「リティス嬢、そろそろ休憩にしてはどうだ?」

「……殿下」

 アザレウスとは、いつの間にかすっかり気安く話す仲になってしまった。

 魔物討伐に同行することも多いアザレウスだが、たいていは王宮にある魔術師団で、部下達を鍛えたり、新たな魔術の研究をしたりしているらしい。

 ラングレー近郊で出会ったのは、たまたま騎士団に同行していたからだそうだ。

「今日もランチを持ってきた」

 アザレウスは、右手に持ったバスケットを高く持ち上げてリティスに見せた。

 作業に熱中すると、ついつい休憩は後回しになってしまう。

 生家で曽祖母の隠し部屋にこもっていた頃もそうだったから、リティス本人は気にしていないが、食事を抜くのは身体にはよくない。

 そんなわけで、アザレウスはしばしばリティスのいるこの部屋を訪れる。

 彼の手にはたいていバスケットがあり、そのまま食事に連れ出されるのがいつものことだ。

「あの、殿下、そちらの方々は……?」

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