イケメンから抜け出したい
えぇーっ。




お母さんの、絶対に諦めないところは、どうやら私には遺伝しなかったようだ。






そのとき、








「あのー何してるんですか、ここ、学校関係者以外は立ち入り禁止ですけど」





「ひっ」





気温と同じくらい、いやそれ以上に冷えた声がした。





びっくりして振り返ると、一人の男子生徒っぽい人が。







「えっ、ごめんなさい。あの、玄関わかんなくて───」






お母さんが何も言わないから、私が謝っちゃったんだけど。




そう思って隣に目をやると。





「イケメン……」




お母さんは、そう口には出さなかったけど、顔に書いてあった。


太い油性ペンだと思う。くっきりしてる。






「玄関?何の用」




ひええ、冷た。




切れ長の、猫のような目がじっと見つめてくる。




氷なの?いやドライアイス?ううん、これは絶対零度。



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