オンボロアパートの花子さん。隣人は王子様…!?
1話

夢のキラキラ大学生活は始まらない…!?

モノ[]
会話「」
心情()


1話
[部活 サークル バイトに恋愛]
[田舎から上京してきた私にとって、東京の大学はドラマの世界みたいで…]
[これからどんなキラキラ大学生ライフがはじまるんだろう…と憧れていたのに]
空き教室の窓際から、窓の外のキラキラした同級生の男女を見る(さき)、そこに琥珀(こはく)魁李(かいり)もいる。
[入学して1週間。キラキラ大学生活は一向に、はじまっていません]
 ※咲の見た目は、黒髪ストレートで、切りっぱなしの垢抜けない雰囲気。眼鏡をかけている。
 ※琥珀は金髪王子様。感情があまり顔に出ないタイプ。眠そうでよく欠伸をしている。
 ※魁李は黒髪オオカミ系。琥珀より少し身長が高い。琥珀と魁李はいつもセットでいる。

〜入学式のオリエンテーションに遡る〜

教授「それでは、経営学科入学生のオリエンテーションをはじめます」
咲(わー!大学って同級生にこんなに人がいるんだ……!しかも経営学科だけでこの人数?!みんなキラキラしてる(ように見える……))
うろうろと席探して、学籍番号を見つけて座る咲。
前の席の子がプリントをくれて
咲「ありがとう!」
前の席の子、エマはすごく可愛くて綺麗な子。
*少し気は強そうで、プリントの渡し方もそっけない。目が合わない。
咲(綺麗な子だなあ、服装もおしゃれ……いかにも大学生ってかんじだ)
そわそわして、声をかけようとする咲。
咲「あのさ……!」
モブ子「あー!エマじゃん!ちょっとーうちら席離れすぎじゃない?」
エマ「うわ、あんた化けすぎでしょ!てかネイルまでばちばちじゃん!」
モブ子「あったりまえじゃん。入学式くらい気合い入れなくてどうすんのよ。てかねえ見た?あそこの男子たち……」

超かっこよくない?!
と、エマ達女子は盛り上がりはじめてしまった。
視線の先には魁李と琥珀がいる。
咲はエマたちに声をかけるタイミングを逃して、あー……と少し所在なさげになる。
ただ、周りを見渡すと、すでにぽこぽこと友だちグループができている。焦る咲。

咲(え……、みんなもう友だち同士になっちゃってる……!いつのまに!?わたし出遅れた?いや、むしろ教室には早く来た方だと思ったけど……)
エマ「うちもインズタでさー、結構イケメン見つけたの。うちの学科にいるらしいんだけど……あ、あの人かも。ねーねー、キミ、ヒロくん?」
ヒロ「え、もしかしてエマちゃん?うわ、ほんとにいたんだー!」
エマ「なにそれwあれ、うしろにいるのってモモピー?」

咲は愕然とする。
咲(インズタって……もしかして)
咲(出遅れたどころか、入学前からもう、SNSでコミュニティができあがってるー……!?)
教室の中でポツンとひとりになり青ざめる咲。

[そして……入学式にして『ぼっち』確定。]
[その後もわたしは経営学科の一匹狼を極めることになる]

〜冒頭の教室〜
咲(お昼休みって憂鬱だな……)
咲(学食はいつも満席だし、空いてる教室を探して弁当を食べるしかない)ぐすっと涙ぐむ。
ぱかっと弁当を開く。弁当箱(パケットモンスター通称パケモンの箱)や巾着などは、垢抜けないかんじ。
小中学生から使っているぼろぼろの見た目。
ただし、料理はすごく上手。おかずもぎっしり丁寧に詰め込まれている。ただ茶色い。
咲「んー!今日も上出来!れんこんの煮物なんて出汁がしみしみで超美味しいー」
と、食べているも、窓の外からきゃーっと、楽しそうな声が聞こえ、ふと外を見る。
知らないモブの男女が楽しそうに会話している。

咲[あの子たち、キラキラしてる…]
咲(てか大学生ってなんでみんな垢抜けてるの!?メイクもファッションも、もっと勉強しとくべきだった!?わたしなんか……)
咲[この、茶色いお弁当が、まるでわたしを体現しているよう……]*本人は真剣に落ち込んでいる。
と、涙ぐんでいると、魁李が現れる。

教室には誰もいないので、必然的に魁李とふたりになる。
魁李「あれ、ここ弁当食っていい場所?」
咲「え!?えええーと、たぶん。怒られたことはないです、たぶん……」
咲(待って、この人…!入学式の時から、学科の女子たちが騒いでいた…イケメンで話題のひとり…)
咲(名前はたしか…)うーんと思い出そうとするが頭を悩ませる咲。

魁李「じゃー俺も使わせてもらお。なあ、その弁当……あんたの手づくり?」
咲「え?ああ、はい……一応……(イケメンに茶色弁当見られるの恥ずーっ!!!)」
魁李「ちょっと貰ってもいい?その、れんこんの煮たやつとか」
咲「え!?!!も、貰っ!?!」
焦っていると咲の手から箸を取って(手が触れてドキっとする)、勝手に食べる魁李。

魁李「は?……」
咲「えっ……」
魁李「んだこれ、うめー……」
魁李噛み締めるように言う。魁李はなぜか赤面気味。(*魁李は料理上手に惚れやすい)咲は魁李の反応にびっくり。
咲「ほ、ほんとですか……?!嬉しい……」
咲「小さい頃から母には料理作ってあげてたんですけど、母以外の感想聞くのははじめてで……」
咲「よ、よかったら他のも食べますか?」
魁李、驚いて、でも本当に嬉しそうな顔をする。
魁李「え、いいの?」
咲「はい…あんまり見映えはよくないですけど」
咲、えーっと、と、どれにしようか悩んでいると、魁李から言う。
魁李「その、エノキを豚肉で巻いたやつ。食べてみたい」
咲「ぜ、ぜひ!」
魁李「じゃあ、いただきます」
魁李キチンと手を合わせる。うめー!と喜ばれて、咲は顔をほころばせる。

すると、突然咲の携帯が鳴る、バイト先の店長からの着信。
咲「あ、すみません電話でます」
店長「咲ちゃんごめん、今から入れないかな? 2時間だけでいいんだけど、××さんが遅れちゃうみたいで……」
咲「あー……、大丈夫ですよ。3限空いてるんでそれくらいなら」

魁李「なに?呼び出し?」
咲「バイトのヘルプです!ごめんなさい、行かないと!」
魁李「お、おう」
咲食い気味に、支度しながら「じゃあ…あの、お弁当おいしいって言ってくれて、ありがとうございました!」
魁李、咲に丁寧にお辞儀されて、気恥ずかしくなる。
魁李「こちらこそ…すげえうまかった。ありがとう」
咲照れ笑いして、時計を見て、慌ててピューっといなくなる。

魁李「なんだありゃ、忙しい奴…」

魁李が突っ立っていると、琥珀が教室にやってきて、魁李に話しかける。
琥珀「なんかいま、豪速球の女の子とすれ違ったんだけど」
魁李「おー、あいつさー」
魁李「同じ学科の奴、だよな?」
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