フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
アカウントを特定されたあの日、早苗との通話を切った楓の頭に、ある妄想が浮かんだ。
ズバリ、伊東倫に復讐するストーリーだ。それを楓は短編小説にしたためた。
タイトルは『リン王子の誤算』
舞台はファンタジーの世界。
愛想がよく国民を愛するリン王子は尊敬され好かれていた。でもその実腹黒で心の中では民をバカにしつつ罵倒していた。ある日魔王がやってきてリン王子に心の声が皆に聞こえる呪いをかける。思っていることがすべてバレたリン王子は民からそっぽを向かれて破滅する……。
言うまでもなくリン王子のモデルは伊東だ。
すました顔で皆に好かれているくせに心の中では相手を罵倒している腹黒王子を物語の中で破滅させて仕返し完了。楓の心はスッキリとした。
スッキリとしたのだが、なにか書けるとSNSにUPしたくなるのは、創作をしている者の性なのかなんなのか。
それをいつものアカウントでコトマドにUPした。
もし伊東本人があれを読んだら……という心配が頭に浮かばなかったわけではないが、もうどうにでもなれ、という気持ちだった。
恥ずかしいなんて感情は相手によく思われたいから湧いてくるもの。楓にとって伊東には悪魔。これ以上、どう思われようと知るものか。
「これはなんだ?」
案の定、伊東のスマホ画面には楓の小説が表示されていた。
「新作です」
「じゃねーよ!まさかこの話の主人公は俺か?」
「え、わかるんですか」
だったらまだ救いがあるかもしれない。
「名前がそのままじゃないか」
「名前……をお借りすることはよくあるので、そんなに怒らなくても」
するすると言葉が出てくるのは、やはり相手が悪魔だからだ。
普段楓が、口数が少ないのは、なにを話せばいいか、なにを言ってはいけないかわからないから。それはすべて変なことを言って相手に嫌な風に思われたくないからである。
その点伊東からは、すでに変なやつと思われているし、もはやどう思われようがかまわない。
ズバリ、伊東倫に復讐するストーリーだ。それを楓は短編小説にしたためた。
タイトルは『リン王子の誤算』
舞台はファンタジーの世界。
愛想がよく国民を愛するリン王子は尊敬され好かれていた。でもその実腹黒で心の中では民をバカにしつつ罵倒していた。ある日魔王がやってきてリン王子に心の声が皆に聞こえる呪いをかける。思っていることがすべてバレたリン王子は民からそっぽを向かれて破滅する……。
言うまでもなくリン王子のモデルは伊東だ。
すました顔で皆に好かれているくせに心の中では相手を罵倒している腹黒王子を物語の中で破滅させて仕返し完了。楓の心はスッキリとした。
スッキリとしたのだが、なにか書けるとSNSにUPしたくなるのは、創作をしている者の性なのかなんなのか。
それをいつものアカウントでコトマドにUPした。
もし伊東本人があれを読んだら……という心配が頭に浮かばなかったわけではないが、もうどうにでもなれ、という気持ちだった。
恥ずかしいなんて感情は相手によく思われたいから湧いてくるもの。楓にとって伊東には悪魔。これ以上、どう思われようと知るものか。
「これはなんだ?」
案の定、伊東のスマホ画面には楓の小説が表示されていた。
「新作です」
「じゃねーよ!まさかこの話の主人公は俺か?」
「え、わかるんですか」
だったらまだ救いがあるかもしれない。
「名前がそのままじゃないか」
「名前……をお借りすることはよくあるので、そんなに怒らなくても」
するすると言葉が出てくるのは、やはり相手が悪魔だからだ。
普段楓が、口数が少ないのは、なにを話せばいいか、なにを言ってはいけないかわからないから。それはすべて変なことを言って相手に嫌な風に思われたくないからである。
その点伊東からは、すでに変なやつと思われているし、もはやどう思われようがかまわない。