フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
「ああ、数字は妄想の余地がないですから。経理の仕事を選んだのはそのためです。伊東さんの言う通り、私、すぐ妄想世界に飛んじゃうので。学生の頃にもうこれしかないって思って経理系の資格を取りました。今も別の部署に異動しないように必死です」
「なるほど」
好きでやってるわけではない、というのが少し恥ずかしい。
けれど自立して生きていくために選んだ道だ。
「消去法で情けないですが。あと、人と の交流が大事な職種はちょっとできそうにないなーって」
「人との交流?」
「……そうです。私昔から対人関係がちょっと苦手で、学生時代は、変わってるねって言われて避けられることもあったから」
今もたいして変わらない。違っているのは、学生の頃よりポツンとしていてもそれ自体が目立たないことだ。
と、そこまで話をして、楓はあれ?と首を傾げる。
なんで私ここまで話してるの?
こんな話、家族にしか言ったことがない。
彼は胸の内を明らかにできるほどの近しい存在ではないし、友だち、というかどうかも微妙だ。知り合った経緯を考えると明らかにおかしい。
自分の中でもっとも秘密にしていた妄想癖がすでにバレているからだろうか?
しかもそれをからかわれてはいるものの、心からバカにされてはいないないから?
「それって、今みたいなそのままの楓を見せられる友達がいなかったってことか?」
「そうですね。いじめ……まではいかないですけど、まぁ孤立はしてました。あの子変だよねって陰口を言われてるのを聞いたことはありましたし。でもまぁ仕方がないです。変な子っていう自覚はありましたし、こっちからも極力かかわらないようにしていました」
当時のことを思い出しながらそう言うと、伊東が難しい表情になって沈黙する。
気まずい話をしてしまったなと思っていると、いつもより真面目な表情になって口を開いた。
「仕方がない? 自分とちょっと違うだけで離れていって陰口を言う、向こうが悪いとは思わないか?」
適当に流されるかと思ったのに、真剣に問いかけられたのを意外に思いながら考えを巡らせる。
「うーん、そこまでは……。自分と違うものは排除したくなるのは人間の本能だと思うんですよね。得体の知れないものって怖いじゃないですか。だからそういう反応をされるのは仕方がないし、悲しいけど、どうもすみませんって思います」
伊東が眉を寄せた。
「なぜそんなに自己肯定感が低いんだ。妄想癖のなにが悪い。べつに誰かに迷惑をかけているわけじゃあるまいし。自分と同じでないと仲良くできないやつなんてこっちから願い下げだと思っていればいいじゃないか。ましてや謝る必要なんてない」
「なるほど」
好きでやってるわけではない、というのが少し恥ずかしい。
けれど自立して生きていくために選んだ道だ。
「消去法で情けないですが。あと、人と の交流が大事な職種はちょっとできそうにないなーって」
「人との交流?」
「……そうです。私昔から対人関係がちょっと苦手で、学生時代は、変わってるねって言われて避けられることもあったから」
今もたいして変わらない。違っているのは、学生の頃よりポツンとしていてもそれ自体が目立たないことだ。
と、そこまで話をして、楓はあれ?と首を傾げる。
なんで私ここまで話してるの?
こんな話、家族にしか言ったことがない。
彼は胸の内を明らかにできるほどの近しい存在ではないし、友だち、というかどうかも微妙だ。知り合った経緯を考えると明らかにおかしい。
自分の中でもっとも秘密にしていた妄想癖がすでにバレているからだろうか?
しかもそれをからかわれてはいるものの、心からバカにされてはいないないから?
「それって、今みたいなそのままの楓を見せられる友達がいなかったってことか?」
「そうですね。いじめ……まではいかないですけど、まぁ孤立はしてました。あの子変だよねって陰口を言われてるのを聞いたことはありましたし。でもまぁ仕方がないです。変な子っていう自覚はありましたし、こっちからも極力かかわらないようにしていました」
当時のことを思い出しながらそう言うと、伊東が難しい表情になって沈黙する。
気まずい話をしてしまったなと思っていると、いつもより真面目な表情になって口を開いた。
「仕方がない? 自分とちょっと違うだけで離れていって陰口を言う、向こうが悪いとは思わないか?」
適当に流されるかと思ったのに、真剣に問いかけられたのを意外に思いながら考えを巡らせる。
「うーん、そこまでは……。自分と違うものは排除したくなるのは人間の本能だと思うんですよね。得体の知れないものって怖いじゃないですか。だからそういう反応をされるのは仕方がないし、悲しいけど、どうもすみませんって思います」
伊東が眉を寄せた。
「なぜそんなに自己肯定感が低いんだ。妄想癖のなにが悪い。べつに誰かに迷惑をかけているわけじゃあるまいし。自分と同じでないと仲良くできないやつなんてこっちから願い下げだと思っていればいいじゃないか。ましてや謝る必要なんてない」