フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
大人気なく声をあげてしまうが、そもそもそういう空間だから目立ってはおらず、店員も微笑んでいる。
案内された席に伊東と向かい合って座る。
「ここずっと来てみたかったんです……! ありがとうございます」
「そう? ならよかった」
彼の方も嬉しそうに笑っている。今この瞬間を楽しんでいる様子のその反応にピンとくる。
「あ、わかった。伊東さんもこのキャラ好きなんですね?」
だから楓にシンパシーを感じて連れてきてくれたのだろう。だってそのくらい彼は嬉しそうにしている。
けれど予想に反して彼は首を横に振った。
「俺はべつに。……なんで?」
「えーっと、伊東さん、すごく嬉しそうな顔してたから」
すると伊東が、不思議そうに瞬きをしたあと手で口もとを覆った。
「……俺、そんなに嬉しそうにしてた?」
「とっても。でも特別に好きじゃなくてもこの空間にいたらにっこりしてしまいますよね」
言いながらメニューを広げる。とたんに、楓の頭から小さな疑問は吹き飛んだ。
可愛いキャラクターがあしらわれたカラフルなメニューの数々に目移りしてしまう。
フードメニューはオムライスだけで、トマト味とクリーム味の二種類だ。
「伊東さん、どちらにします?」
どうせならどちらのオムライスも見てみたい。楓としてはどちらでもいいから、伊東が選ばなかった方にしよう、と思って問いかけるが返事がなかった。
「伊東さん?」
「……トマト味にしようかな」
「じゃあ、私はクリームにしよう」
オーダーを済ませて、楓は店の中を改めて見回した。テーブルも柱も窓もなにもかも可愛い。ここに住みたいくらいだ。
「嬉しそうだな。妄想しがいがあるだろう」
「とっても」
思わずふふふと笑みが漏れる。
店内が可愛いからか、いつもより伊東が優しいからか、あるいはその両方かとにかく楽しくて、なんだか心がふわふわする。これも恋心というやつだろう。
「だけど、そんな感じでよくあの仕事ができるな」
「へ?」
「経理部の仕事だ。俺が知る限り経理課で一番仕事ができるのは楓だ。話すようになるまではひたすら真面目なやつなんだろうと思っていたが、普段の姿を見てると……仕事中に妄想世界に飛んだりはしないのか?」
ことあるごとに、妄想世界に飛んでいてはあの仕事はできない。
案内された席に伊東と向かい合って座る。
「ここずっと来てみたかったんです……! ありがとうございます」
「そう? ならよかった」
彼の方も嬉しそうに笑っている。今この瞬間を楽しんでいる様子のその反応にピンとくる。
「あ、わかった。伊東さんもこのキャラ好きなんですね?」
だから楓にシンパシーを感じて連れてきてくれたのだろう。だってそのくらい彼は嬉しそうにしている。
けれど予想に反して彼は首を横に振った。
「俺はべつに。……なんで?」
「えーっと、伊東さん、すごく嬉しそうな顔してたから」
すると伊東が、不思議そうに瞬きをしたあと手で口もとを覆った。
「……俺、そんなに嬉しそうにしてた?」
「とっても。でも特別に好きじゃなくてもこの空間にいたらにっこりしてしまいますよね」
言いながらメニューを広げる。とたんに、楓の頭から小さな疑問は吹き飛んだ。
可愛いキャラクターがあしらわれたカラフルなメニューの数々に目移りしてしまう。
フードメニューはオムライスだけで、トマト味とクリーム味の二種類だ。
「伊東さん、どちらにします?」
どうせならどちらのオムライスも見てみたい。楓としてはどちらでもいいから、伊東が選ばなかった方にしよう、と思って問いかけるが返事がなかった。
「伊東さん?」
「……トマト味にしようかな」
「じゃあ、私はクリームにしよう」
オーダーを済ませて、楓は店の中を改めて見回した。テーブルも柱も窓もなにもかも可愛い。ここに住みたいくらいだ。
「嬉しそうだな。妄想しがいがあるだろう」
「とっても」
思わずふふふと笑みが漏れる。
店内が可愛いからか、いつもより伊東が優しいからか、あるいはその両方かとにかく楽しくて、なんだか心がふわふわする。これも恋心というやつだろう。
「だけど、そんな感じでよくあの仕事ができるな」
「へ?」
「経理部の仕事だ。俺が知る限り経理課で一番仕事ができるのは楓だ。話すようになるまではひたすら真面目なやつなんだろうと思っていたが、普段の姿を見てると……仕事中に妄想世界に飛んだりはしないのか?」
ことあるごとに、妄想世界に飛んでいてはあの仕事はできない。