フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
その日楓は、やり忘れた仕事を思い出し、夜遅く会社に戻った。とある書類をとある社員の机の上にあさイチで置いておくという単純なものだったが、次の日楓は有休で、その日中にやっておく必要があったのだ。
 
一階はもう無人で照明が落ちていた。薄暗い中、自分のディスクから書類を持ち出し、件の人物の机の上にそれを置く。無事にミッションを完了すると、楓はエントランスではなく建物の裏側にある通用口を目指した。

この時間はこちらから出入りする決まりになっている。

出たところで足を止めたのは、すぐ近くにあるゴミ捨て場からなにやら深刻そうな話し声が聞こえたからだ。
 
ドアの陰に隠れたままそうっと覗くと、そこには向かい合う社員がふたり。
 
伊東と、楓は面識がない女性社員。なにやら妙な雰囲気である。

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