恋うたかるた

>補講に行くので夕飯は先に食べて下さい

 帰りの電車を降りると瑞穂のLINEが志織に届いた。

>>気をつけてね

 その日、沢田と最後の一線だけは越えなかったことで、志織は少し救われた気がしていた。

(入試が終わるまでは待っていよう)

 自宅までの道を歩きながらそう心に決めたのだが、家に帰ると。同じメッセージがテーブルの上に残されていた。

(あの子らしいわね)

 思いやりのある娘に育ってくれたことが志織は嬉しかった。



>今日はありがとう
 風邪引かないように

 沢田のLINEだった。

>>こちらこそ素敵な時間をありがとうございました
  
 返信を打ち終えるとほんの少し前のことが甦ってきた。
 
(彼は気を悪くしなかっただろうか…)
(でも、今はあれでよかったのだ…)

 そんなことを思いながら、志織は彼に包まれていた胸にそっと手を当ててみた。

 まだ彼の掌の優しさが残っているような気がした。
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