皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
胸が、きゅっと痛んだ。

当然の問いかけ。だけど、それがあまりにまっすぐで、現実を突きつけられた気がした。

アレシオ殿下は答える。

「……場合によっては。」

その瞬間、足が地面に縫い付けられたように動かなくなった。

“場合によっては”。その言葉の持つ重さに、唇が震える。

私は静かにうつむいた。

期待しすぎてはいけない。まだ、最終審査は終わっていないのだから。

私の隣をすれ違うマリアンヌ皇女が、優雅に囁く。

「頑張ってね、公募の令嬢さん。私は“本物”の皇女として、この座を譲るつもりはないから。」

風が揺らした薔薇の香りの中、私は拳を握りしめた。

庭園に残された私と、アレシオ殿下。

沈黙が流れ、私は目を伏せたまま口を開く。

「……私は、愚かでした。」

「なぜそう思う?」

「期待してしまったから。まだ審査が終わっていないのに……まるで、もう選ばれたかのように振る舞ってしまって。」

その言葉に、アレシオ殿下は静かに言った。

「君が悪いわけではない。むしろ俺が……君に期待をさせてしまったかもしれない。」

私は顔を上げた。

アレシオ殿下の瞳が、真っ直ぐに私を見つめていた。
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