皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「ついに、皇太子殿下が婚約に乗り気になった。」

父がその言葉を口にした瞬間、胸の奥で何かがふわりと浮き上がった。

「皇太子殿下はもう二十歳なのに、これまで婚約の話すらなかった。一体いつになったら、と思っていたが……」

そう。ずっと、ずっと待ち望んでいたのだ。この時を。
私が“選ばれる日”を。

「国王も、このエストレア公爵家を重んじてくれている。しかも、娘は十八の結婚適齢期だ。」

ふふ、と父は笑い、私の肩をポンと叩いた。

「婚約する心構えだけはしておけ。すぐに通達があるだろう」

「……はい」

自然と頬が熱くなった。

胸の奥がざわめく。
緊張?それとも──これは、夢の入り口?

これまでの日々が、ようやく報われる。

あの時、こっそりと微笑んでくれた殿下の眼差しを、私は今も覚えている。

幼い頃から、私はただひたすらに“妃”として相応しい器になるよう育てられてきた。

その道を疑ったことは一度もない。

だから、今こそ──

あの努力のすべてが、実を結ぶのだと信じていた。
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