皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
そして──数日後。

応接間に響いた父の怒声に、私は胸の奥がひやりと冷えるのを感じた。

「何⁉ 皇太子殿下のたっての願いで、皇太子妃は“公募制”にするだと⁉」

震える手に通達書を握ったまま、父はわなわなと肩を揺らしていた。

信じられない。信じたくない。

その言葉を、私は何度も心の中で繰り返す。

「セレフィーヌでは、不満足ということか!」

父の怒りが、紙を床に叩きつけた音となって室内に響いた。

瞬間、胸が締めつけられる。呼吸が浅くなっていく。

「一体、どういうことですか……?」

掠れた声しか出なかった。

私が、何かいけないことをしたのだろうか。

勉強が足りなかった? 立ち居振る舞いが?

……それとも、私は“愛されなかった”のだろうか。

恐ろしかった。

これまで自分が積み重ねてきたものが、音を立てて崩れていく感覚。

胸の奥で、何かがぽたりと落ちる音がした。
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