皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
さすがはルカ――幼い頃から、いつでも私の味方でいてくれた。

そのまなざしに包まれると、ずっと押し込めてきた不安が少しずつほどけていくのを感じた。

「……それが、私。殿下に体を許してしまって。」

口にした瞬間、胸が締めつけられる。

「ベッドを共にしたって事?」

私は小さく頷いた。ルカの表情は変わらないように見えたが、その瞳の奥には揺らぎがあった。

冷静を保とうとしているのが、痛いほど分かる。

「それは……皇太子殿下も、ずいぶん情熱的な方だな。」

冗談めかした声色なのに、内心ではきっと、結婚前に令嬢が純潔を捧げることの重みを感じているはずだ。

「それで殿下は、愛情に引きずられただけなのでは、と言われて……」

言い終える前に、ルカの大きな手が私の手を包み込んだ。

その温もりは、昔と変わらず優しくて、今にも泣き出しそうな心をそっと支えてくれるようだった。
< 230 / 234 >

この作品をシェア

pagetop