皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
私は反射的に振り返った。

ドアの前に立っていたのは、上質なシフォンのドレスに身を包んだ令嬢。

プラチナブロンドの巻き髪、整った横顔、毅然とした立ち姿。

その気品は、明らかに只者ではないと感じさせた。

「皇太子殿下の従姉妹、マリアンヌ・オードラン皇女です。」

「……っ、マリアンヌ皇女?」

アレシオ殿下の目が驚きに大きく見開かれる。

「まさか……君が応募してくるとは……」

「ええ。殿下。」

マリアンヌはすっと歩み寄ると、まっすぐ彼を見つめた。

「最後に、チャンスをください。」

その声は震えていなかった。むしろ、熱意と静かな決意に満ちていた。

「誰よりもあなたを見て来た、私に。」

その場の空気が一瞬、張り詰めた。

アレシオ殿下は言葉を失い、マリアンヌ皇女を見つめ返していた。

私は、ふと自分の肩を抱く手に、わずかな力の緩みを感じた。

新たな刺客──しかも王族の血を引く者の登場に、私の心にもざわめきが走る。

だが同時に思った。

「それでも、私は引かない。」

ここからが、本当の戦いの始まりなのだと。
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