皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなった。

私は応募用紙を提出しただけなのに、まるで何かを認められた気がして──

心のどこかが、ほっと緩むのを感じた。

提出を終えた私は、まだ胸の高鳴りが収まらずにいた。

それでも気になっていた言葉を、どうしても、今、口にしておきたかった。

「……これで、あなたに“男としての”自信になりましたか?」

顔を上げることができなかった。自分の声音が震えていたのがわかる。

けれどアレシオ殿下は、それに真正面から応えた。

彼は立ち上がり、私の肩をそっと抱き寄せる。

「──ああ。俺は今、無性に嬉しくてたまらない。」

その低く穏やかな声が、耳元で響く。

熱を持った指先が、静かに私の肩を包み込むようだった。

その時。

「……マリアンヌ・オードラン、受付を済ませました。」

書記官の声が静かに響いた瞬間、室内の空気が少し変わった。
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