皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「筆記試験では、王国の歴史、上級教養、外交知識、そして三種の外国語による読解と翻訳を課します。制限時間は三時間。静粛に。」

周囲の空気が、さらに張り詰めた。

──王妃になるには、政務にも耐えうる知性が求められる。

表向きは「選ばれた妃に教育を施す」などと言うが、実際は、婚約前からそれに足るかどうか、厳しく見極められているのだ。

筆記用紙が配られ、次々と問題文が記されていく。

《初代国王ルシウス一世が即位した背景を簡潔に述べよ》
《ヴィゼルト条約が締結された経緯と現代への影響について論述せよ》
《古語の文章を現代語に翻訳しなさい──原文:”Vestra regnum fide fundatur.”》
《以下の外交文書を三種の言語で要約せよ(英・仏・ラテン)》

息を呑むような難問が次々と並んでいた。

だが、私は恐れなかった。

この瞬間のために、私はこれまで自分を磨いてきた。
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