皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
誰に褒められなくても、誰に見られていなくても。

ただひとつ、「皇太子妃になる」という、あの夢のために。

アレシオ殿下は、こうした選抜方法を望んだ。

ならば、私はそれに応えてみせる。

私はペンを握り、迷いなく書き始めた。

エミリア嬢もまた、筆を走らせている。

周囲では、他の令嬢たちが時に手を止め、唇を噛んでいる姿も見えた。

知識だけでは足りない。覚悟と信念も問われるこの試験。

静寂の中で、紙をめくる音だけが響き渡る。

私は思った。

──これが、“選ばれる”ということ。

そして同時に、“選びにいく”ということでもあるのだと。

筆記試験が終わった瞬間、大広間に安堵のため息が広がった。

──三時間という時間は、あまりにも短く、けれど永遠のように感じられるもの。

「以上で筆記試験を終了します。皆さま、お疲れ様でした。」
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