半妖の九尾の狐は神巫女を独占中
狐の独占欲
玖夜様に抱えられたまま社に辿り着く。
その間、玖夜様は一言も言葉を発していなかった。
不思議に思って玖夜様を見てみると、どこか苦しげな表情を浮かべて私の事を見ていた。
「玖夜様、どうしました?なんか苦しそう・・・も、もしかして、私重かったですか!?」
「ううん、そうじゃないよ。むしろ軽いぐらいだ。私がいながら、こんな傷を負わせてしまったのがやるせなくてね。この傷は私のせいだ」
つらそうに話し出す玖夜様。
だけどこれは玖夜様のせいじゃない、私のせいで負った傷だ。
「これは玖夜様のせいじゃありませんよ?私の力が及ばなかったからであって、玖夜様が責任を感じる必要はありません」
私の言葉を聞いた玖夜様は苦しそうにしながらも、私の首にある傷を労わるように手を添える。
ジクジクとした痛みが広がるけど、嫌ではなかった。
私は、首筋に添えてある玖夜様の手に自分の手を重ねる。
「玖夜様が来てくれたから、この程度で済んだんです。確かに噛まれたし、体もまさぐられたりもしましたが、純潔は守られました。だから、玖夜様が気に病む必要ないんですよ」
「・・・体をまさぐられた・・・?」
玖夜様が気に病まないように発した言葉のはずだった。
なのに、玖夜様の表情はみるみるうちに変わっていき、物凄く怖い物になっていく。
まるで般若のような形相で来た道を睨みつけていた。
「あのクソ野郎・・・タコの踊り食いだけじゃ足りなかったか・・・!!」
憎々しげに言葉を吐き捨てた玖夜様。
どうやら私の発言は完全に玖夜様の癪に障ったらしい。
玖夜様の事を思っての事だったのに逆効果になってしまったようだ。
あの1つ目の妖に対してすごい怒りを覚えているみたい。
「あっ・・・いやっ・・・!!服の上から脚やお腹の辺りを触られただけなので・・・!!」
「・・・そうか・・・あいつの事は、狐火で火あぶりにしないといけないようだっ・・・!!」
玖夜様の怒りを沈める為に発した言葉のつもりだったのに、玖夜様の怒りはむしろ燃え上がってしまったようだ。
火に油を注ぐというのはこの事だろうか。
燃料を投下された玖夜様はさらに怒りを顕にしていた。
「・・・ハァ〜・・・、怒りと嫉妬でどうにかなってしまいそうだ・・・」
「・・・嫉妬・・・?」
玖夜様が頭を掻きむしりながら紡いだ言葉に私はハテナを浮かべた。
怒りはわかるけど、なんで嫉妬まで・・・?
「悠乃に消えるかわからない跡をつけて、その上私も触れた事のない場所に触れていると知ったら、嫉妬もするさ。私は悠乃の思っている程、余裕のある大人ではないからね。私が上書きしたいぐらいだよ」
「上書きって、何をするんですか?」
「・・・こうするんだよ」
不思議に思っていると、玖夜様は私を引き寄せて首筋に顔を近付ける。
カプっと傷口の上に優しく歯を立てられ、痛みが走る。
だけど、あの時とは違って鋭い痛みではなく甘い痛みだった。
「きゅっ・・・玖夜様っ・・・!?何をっ・・・!?」
「ん?・・・上書き」
私が名を呼ぶと、口を離してポツリと呟いた後傷口を舐められた。
その感覚に背筋がゾワゾワし、甘いしびれに似た何かが駆けていく。
「・・・今ので傷が開いちゃったね。消毒をして手当てをしよう。救急箱を持ってくるから、悠乃も着替えておいで」
「は・・・はい・・・」
玖夜様が私から離れ、救急箱が置いてある部屋に行く。
私は、首筋を手で押さえながら遠ざかる玖夜様を見つめた。
その間、玖夜様は一言も言葉を発していなかった。
不思議に思って玖夜様を見てみると、どこか苦しげな表情を浮かべて私の事を見ていた。
「玖夜様、どうしました?なんか苦しそう・・・も、もしかして、私重かったですか!?」
「ううん、そうじゃないよ。むしろ軽いぐらいだ。私がいながら、こんな傷を負わせてしまったのがやるせなくてね。この傷は私のせいだ」
つらそうに話し出す玖夜様。
だけどこれは玖夜様のせいじゃない、私のせいで負った傷だ。
「これは玖夜様のせいじゃありませんよ?私の力が及ばなかったからであって、玖夜様が責任を感じる必要はありません」
私の言葉を聞いた玖夜様は苦しそうにしながらも、私の首にある傷を労わるように手を添える。
ジクジクとした痛みが広がるけど、嫌ではなかった。
私は、首筋に添えてある玖夜様の手に自分の手を重ねる。
「玖夜様が来てくれたから、この程度で済んだんです。確かに噛まれたし、体もまさぐられたりもしましたが、純潔は守られました。だから、玖夜様が気に病む必要ないんですよ」
「・・・体をまさぐられた・・・?」
玖夜様が気に病まないように発した言葉のはずだった。
なのに、玖夜様の表情はみるみるうちに変わっていき、物凄く怖い物になっていく。
まるで般若のような形相で来た道を睨みつけていた。
「あのクソ野郎・・・タコの踊り食いだけじゃ足りなかったか・・・!!」
憎々しげに言葉を吐き捨てた玖夜様。
どうやら私の発言は完全に玖夜様の癪に障ったらしい。
玖夜様の事を思っての事だったのに逆効果になってしまったようだ。
あの1つ目の妖に対してすごい怒りを覚えているみたい。
「あっ・・・いやっ・・・!!服の上から脚やお腹の辺りを触られただけなので・・・!!」
「・・・そうか・・・あいつの事は、狐火で火あぶりにしないといけないようだっ・・・!!」
玖夜様の怒りを沈める為に発した言葉のつもりだったのに、玖夜様の怒りはむしろ燃え上がってしまったようだ。
火に油を注ぐというのはこの事だろうか。
燃料を投下された玖夜様はさらに怒りを顕にしていた。
「・・・ハァ〜・・・、怒りと嫉妬でどうにかなってしまいそうだ・・・」
「・・・嫉妬・・・?」
玖夜様が頭を掻きむしりながら紡いだ言葉に私はハテナを浮かべた。
怒りはわかるけど、なんで嫉妬まで・・・?
「悠乃に消えるかわからない跡をつけて、その上私も触れた事のない場所に触れていると知ったら、嫉妬もするさ。私は悠乃の思っている程、余裕のある大人ではないからね。私が上書きしたいぐらいだよ」
「上書きって、何をするんですか?」
「・・・こうするんだよ」
不思議に思っていると、玖夜様は私を引き寄せて首筋に顔を近付ける。
カプっと傷口の上に優しく歯を立てられ、痛みが走る。
だけど、あの時とは違って鋭い痛みではなく甘い痛みだった。
「きゅっ・・・玖夜様っ・・・!?何をっ・・・!?」
「ん?・・・上書き」
私が名を呼ぶと、口を離してポツリと呟いた後傷口を舐められた。
その感覚に背筋がゾワゾワし、甘いしびれに似た何かが駆けていく。
「・・・今ので傷が開いちゃったね。消毒をして手当てをしよう。救急箱を持ってくるから、悠乃も着替えておいで」
「は・・・はい・・・」
玖夜様が私から離れ、救急箱が置いてある部屋に行く。
私は、首筋を手で押さえながら遠ざかる玖夜様を見つめた。