そのお悩み、私たちの能力で解決します!
「ふう……」
私と五月くんは公園のベンチに腰を下ろすと、ようやく一息ついた。
「困ってるひとって、結構いるんだねぇ」
「そうだな」
「あ!俺、飲み物買ってくるよ!」と五月くんが立ちあがる。
私の分も買ってきてくれるというのでお任せした。
「はい。ココアでよかった?」
「うん!ありがとう!」
五月くんが買ってきてくれたココアの缶を受け取ると、缶は思ったよりも熱かった。
「もう温かい飲み物が自販機に並ぶ季節なんだねぇ」
「だなー」
五月くんが転入してきたのが十月の終わりだったから、もうひと月くらいが経つんだなぁ。
クラスでも部活でも一緒にいることが多いせいか、なんだかもっとずっと前から一緒にいるような気がしちゃう。
五月くんがココアをぐいっと一気に飲み干して、私に向き直った。
「桜彩、ありがとな」
「え?」
五月くんの突然の感謝の言葉に、私は目を丸くする。
「桜彩がいなかったら、この力をもっと持て余してたと思う」
五月くんは流れていく羊雲を眺めながら言う。
「おかげでお悩み解決部って部活も立ち上げられたし、桜彩の能力のおかげで助けられたことも多い。やっぱ俺の見立てに間違いはなかったな。俺の高速移動の能力と、桜彩の5秒先の未来を見る力があれば、きっと誰かを助けられるって」
「うん……」
「だから、ありがとな!桜彩!こんなに自分の力を持っててよかったって思えたのも、桜彩のおかげだ!」
五月くんはにっと笑う。
そんな五月くんを見ていると、なんだか胸が苦しくなって私は思わず五月くんの手を握っていた。
「え……桜彩……?」
なんでこんなにも不安な気持ちになるんだろう?
五月くんがいつか、どこか遠くにいってしまうみたいな、そんなよくわからないざわざわした気持ちが私の胸を襲う。
「五月くん、どこにも行かないで」
「え?別にどこにも行かないけど……」
「そうじゃなくて……っ!」
私はきっと、五月くんが自分を大切にしないことが怖いんだ。
誰かを助けるためなら、自分がいくら傷付いても、それがもし自分の命さえも脅かすことになったとしても、それでいいと思ってしまう五月くんが怖い。
私は握った手に力を込める。
「五月くん、約束して」
「え、え?約束?」
少し頬を赤らめた五月くんに、私は真剣に言葉を紡ぐ。
「ひとを助けることももちろん大事だけど、自分を大切にして。自分を大事にしないと、誰も助けられなくなっちゃう。だから五月くん自身のことも、大事にしてほしいの」
「え?ああ、うん……?」
「お願い、約束して」
私はずいっと五月くんに顔を近付ける。
五月くんは慌てたように、こくこくとうなずいた。
「わかった!わかったよ!約束する!……だからその、ち、近いっつーか……」
約束する。
五月くんはそう言ってくれた。
私は満足して、五月くんの手をゆっくりと離した。
「これからも五月くんは、元気に私と一緒にいるんだからね!」
「お、おう……?」
私が五月くんを見ててあげなくちゃ。
これ以上五月くんが、自分を傷付けないように。